監督やコーチの指導と理想が異なる場合はどうすべきか?

少年野球でバッティング指導をするとき私がよく気を付けていることは、選手が理想とするバッティングスタイルを尊重することです。プレーヤーとして私が野球をしていたころは、コーチや父に言われるがままに淡々とフォームを作っていった記憶がありますが、バッティングが得意では無かったので理想とするスイング像が無かったのが原因w そういった目標が無い状態にならないためにも、どういったバッティングがしたいのかを聞き出すことを行っています。

個人的に気に入った野球動画Vo.21

メール相談でもよく質問をいただくのが「コーチが教えることに違和感を感じているのですが、私(質問者様)の考えと果たしてどちらが正しいのでしょうか?」という内容です。お父さんの理想とするスタイルと監督やコーチが教える指導内容に食い違いが起こった場合トラブルになりやすいですから、部活で野球を行っている以上、難しいテーマでもありますよね。

今回はそんな「チームで教わる指導と理想のプレースタイルが異なっている場合、トラブルにならずにうまい具合に対処する方法というかコツのようなものを書いていけたらなと思います。『いま正に修羅場だぜ』ってお父さん&監督コーチにぜひ読んでもらいたいですw

頭で考えすぎると自分のバッティングを見失うということ

お勧め動画というよりも雰囲気を伝えたかったので例に挙げます。

私は技術指導は全くわかりませんので、この教え方が正しいのか間違っているのかの判断が出来ませんが、私も競技をしていたころは同じように教わったと記憶しています。

動画の少年のようにバットをしっかり振れていたわけでは無いのですが、あれこれ考えすぎてしまい自分のスイングを見失った結果ティーバッティングですらまともにミートが出来なくなった経験があります。いま考えると、さながら授業中に苦手な教科で(すべて苦手でしたがw)わからない問題を、めっちゃ怖い先生に指されたくらいの心境でした。『やっべーマジでバッティング(競技として)いらねぇ』くらいテンパってましたからねw

この仕事をはじめてから色々な選手を指導させていただく機会があるのですが、幸いなことにそういった当時の軽いトラウマが役に立っています。つくづく思うのは、真面目な選手ほど頭をシンプルに、四の五の言わずに体を作らせること。これを徹底させなければ努力する方向性を見失ってしまう。どんなに練習しても技術とセンスのバランスが保たれることが無いといっても良いくらいです。

カテゴライズしなければ運動に移せない選手は苦戦する

真面目な選手でも色々なヤツがいて、おとなしくて何をやればいいのかの指示を待っているタイプもいれば、あらゆることを論理的に考えてしまい自分の中でカテゴライズしてからでないと動作が行えないタイプもいます。

グランドでバッティングが上手くなるように教えるのが難しいのは言うまでも無く後者。これは、ほんとにキツイw

私はセンス理論なんて言ってますが、グランドでは基本的にバッティング理論は使えないと思っています。しかし、この手のタイプはそういう甘い誘惑に惑わされやすい。算数のように答えが決まっている方法じゃなきゃ納得しないわけです。

あえて、どうすべきかは言いませんがそういう選手を指導する場合は指導者側が特に工夫をする必要がありますよね。

さて、ここまで真面目な選手へ指導するときに陥りやすい例を簡単にお話ししましたが、ここからは記事のテーマでもある「親子で理想とするスイング」と「グランドで教わっているスイング」とにギャップがある場合の対処法というか、トラブルが起きないように上手くかわす方法をご紹介していきましょう。上記のような真面目なタイプの選手や親子ほど、このテーマは難しいですから参考にしていただけると嬉しいですね。

ダウンスイングを教えられているがレベルスイングにしたい場合

これは少年野球のお父さんから結構いただく質問ですw

というのも、私がセンスセンスとしつこいほど言っているのでグランドで教えている技術指導とのギャップが半端じゃないという件です。私は常々センスと技術は別々に考えるべきであると言っていますが、ここの線引きが難しくてどうしても技術とセンスは共存できないというような捉え方をしてしまう人がいるようですね。

たとえば、

  • コーチは上から最短距離でバットを出すように指導している
  • お父さんはレベルスイングでコンパクトに強い打球を打ってほしい
  • 選手本人の本音では試合でホームランを打ちたい

こんな感じの場合は少々の食い違いが起こるはずです。

まず、コーチとお父さんとでは目指すべくスイングのスタイルが大きく異なります。ダウンスイングとレベルスイングという、いわばバッティング理論の双璧ともいうべき部分で真っ向から対立していますからね。こういう技術的な部分を持ってきて、バットの軌道は勝手に作られるものといってるセンス理論って…なんなの!?となるわけですからw

ダウンスイングを推奨する2つのタイプの指導者

そもそも上から最短距離でコンパクトに振りなさいと指導する人は、大きく分けて2つのタイプがあると思うんです。

タイプ1
自らが選手時代の時に『バットは上から叩くように振るもんだ』と教わってきており、バットスイング=ダウンスイングであるという固定観念で指導しているタイプ。
タイプ2
選手のスイングを見たときにどうもバットが遠回りしているような印象を受け、それらを矯正するために上から叩くような意識を持つよう選手へ指導しているタイプ。

石川とトラブルが起こりやすいのは前者ですねw(もちろん冗談ですw)

上からしっかりボールを叩いている選手ですらも『上から叩け』って指導する人は論外ですが、問題は後者のケース。見た感じそういう印象を選手が与えてしまっているわけですが、この部分はセンスと技術のバランスを理解する上でも良い例になりそうです。

どう振ろうがコンパクトで振るにはやるべきことは決まっている

振り方が違うといえど、コーチとお父さんとで共通するスイングスタイルって「コンパクトなスイング」「シャープなスイング」だと思うんですよ。ですから、この見た感じ遠回りしているという部分が非常に大切。

センスの面でいえば答えはカンタンです。

ダウンスイングで振ろうがレベルスイングで振ろうが、「バットの扱い方」と「手腕と体幹の使用比率を調整する」だけ。

バット中心操の動作の流れ

バット中心操でバットを扱えばヘッドが必要以上に動きませんからドアスイングのように体から離れるような印象は薄れるはずです。

バットの扱い方の解説図

スイングのベースを担うという意味でも自分がバットを扱う上でのスタイルや癖を知っておくべきでしょう。

体幹でスイングすることを覚えるということ

それから、ドアスイングのような印象を与えてしまう決定的な理由が…手や腕をメインにスイングしている比率が高いということ。

子どもを指導していて私も感じますが、ダウンスイングを指導する人には手打ちになっているということ、これが最も大きいんでしょうね。

逆に言ってしまえば、上図Bの自中操でバットヘッドを動かすように扱っていたとしても、体の奥から使えていれば明らかなドアスイングにはみえません。むしろヘッドを操作している分、よりコンパクトに見えるように振り抜く事すらできますし、実際にBのタイプでも力強くコンパクトなスイングをする高校生は多くみられます。

少年野球では『バットが重いなら短く持って振れ』とほとんどの指導者が教えてしまいますから、子どもたちはどうしても手や腕で操作する意識が高まるわけです。私の印象ではドアスイングの印象を受ける選手は手腕と体幹とでは8対2くらいの割合でしょうかね?それくらい偏った比率でスイングしています。

あまりにひどい選手だと軸足側へ体重が残った状態でスイングしますからね。自中操(上図B)の原理をみてもらえればわかりますが、固定的な支点は何もグリップだけというわけではありません。本当にひどい選手はこの固定支点を全身に作りすぎたスイングをします。

ですから、この手腕と体幹との使用比率を積極的に逆転させていくことが、コーチのダウンスイング指導とお父さんが理想とするレベルスイングとでトラブルが起きない方法になるわけです。体の軸周りでしっかりスイングできていて、コンパクトに振れていればどういうわけか、アッパー気味のレベルスイングでも印象がガラッと変わってきますからね。

ですからここでポイントとなるのは、より体幹に近い部分でバットをスイングすること。すなわち両肩甲骨のラインの使い方がコンパクトなスイングが出来るかどうかのカギを握っているといえるでしょう。

体幹でスイングするためにオススメな2つのトレーニング

私がお勧めするのは断然ストバスです。

ストリームバスター

正面からのアングル

やり方はホームランの打ち方の記事で詳しく解説していますのでそちらを参考にしてください。

この練習方法は、どうしても手や腕でスイングしてしまう選手に必ず教えています。バントの構えで打つので極端にリーチが短くなりますし、同時にバットの運動量が極端にありませんから打球は遠くへ飛びません。この『リーチが短いから手打ちは飛ばないんだ』という意識こそが、手腕と体幹の比率を変える時にもっとも重要になってきます。

そういった感覚や意識を持ったうえで、両肩甲骨のラインを体幹からズラすように前後左右へ柔らかく動かせてくると体幹部の比率が高まります。そこに慣れてくると腕でスイングしているというイメージではなく、体の軸でボールを運ぶという感じが生まれ、バントの構えでも驚くほど打球が飛ぶようになってくるんですね。

背骨と肩甲骨の間からスイングするようなイメージ

私がお勧めするもう一つのトレーニングはピンポイントで肩甲骨の動きを覚える方法です。

ストバスのやり方でコンパクトにスイングしながら連続ティーを行うわけですが、これも手や腕の意識が濃い選手は絶対に上手くいきません。手打ちになればなるほど、どうしてもボールへ当てに行ったスイングになったり、バットを引き戻す動作のシーンで時間が掛ってしまったりするわけです。

このトレーニングのコツは2つ。

  • 両肩甲骨を繋いだラインを意識する
  • 背骨と肩甲骨の間をさすってもらう

です。ようは背中側を中心にスイングしたいのですが、目で見えないだけに認識しにくい場所でもあります。

2つのコツ

両肩甲骨を繋ぐラインは意識と動作の両方から指導すると上手くいきます。左右へ柔らかくスライドさせながら水平の意識を持つように教えてください。

それから背骨の両サイドはものすごく意識しにくいはずです。バッティングが上手くない選手の場合、腰を回転させて肘やリストを利かせるようにしてスイングするという一連の形が出来上がってしまっています。

なので、それを打開していくにも『この部分からバットはスイングするんだ』と言い聞かせなければいけません。具体的には、さするように揉みほぐしたり、軽く叩いたりするのも有効ですので根気よく行ってみてください。

コーチの指導と理想とするスタイルが異なる場合についてのまとめ

部活に入って競技を行っている以上、常識的な範囲以内で指導者のいう事は素直に聞かなければいけません。ただ、今回のテーマのように理想とするプレースタイルと要求されたスタイルとに食い違いが起こった場合、やはり我を通すのも必要かもしれませんね。

もっとも大人側がいくら思っても、選手である子供が違った意思を持っているのであればそれをサポートするのが最もいい関係であることは言うまでもありませんが。

私が公開しているセンス関係の情報とグランドで行われているバッティング技術指導は、一見してまるっきり異なるようで実は密接に関係しているということが少しだけでもわかっていただけたでしょうか?技術とセンスをバランスよく鍛えることが大切ですから、これらを反発させて考えないで上手く共存させるように物事を考えてみてください。

何だかんだいっても上手くなろうとすればするほど、センスのある選手へ近づけば近づくほどやるべきことはシンプルに、かつ共通してきますから。

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