飛距離アップに、最低限行っておきたい押し手の練習法

様々なバッティング理論でも有効とされている押し手。しかし、押し手を強化しようと練習してみたがいまいち飛距離が出ないという方は多いはず。たとえ、どんなに空手チョップのイメージや、腕や肘を押し込むイメージを持っても、小手先での操作から抜け出し、身体の奥からしっかり押し込めないと飛距離アップはしません。では、小手先スイングから脱却し身体の奥から押し込めるようになるには、いったいどのような練習が最適なのか?

個人的に気に入った野球動画Vo.17

近年、押し手がバッティングでは大切という理論が増えてきていますが、その多くは押し込むイメージを強調するにとどまり具体的な方法が解説されていません。ちょっと親切なものでは、肘の角度や手の向きなどの形を解説していますが。しかし、押し込むという動作はザックリいうと、インパクトでボールに負けないために行うためであり、とうぜん力が大きくなければいけません。

そこで重要になるのが

  • 肩関節を中心に肘と手首で押し込むのか?
  • 肩甲骨を中心に肋骨を使って押し込むのか?

この2つのタイプです。

肩関節を中心に使うと脇を締めて肘を固定するしか方法がない

前者のタイプは私がこのサイトでも否定している方法ですね。いわゆる「脇を締めて肘を固定するタイプ」です。これは脇を締めることで、肘関節の支点をしっかり固定する結果、動きが安定しますからボールに押し負けないと言われています。が、安定する代償に「自由性」や「運動性」を失ってしまうんです。

簡単に言ってしまえば、押し手側の動きをギュッと止めるわけですから、前にも後ろにも横にも動かせなくなり、変化球やコースの対応が難しくなるということです。さらに、肝心の大きな力を生み出せているか?という部分も実は怪しいというのが現実です。

大切なのは衝撃に耐えられる力ではなく飛距離を伸ばすための力

ギュッと脇を締めて安定させた肩・肘・手首は、ボールを打った時の衝撃に十分に耐えられるはずです。しかし、遠くへ飛ばすために必要な上半身の運動性はどうでしょうか?また、上記のように変化球やコースに対応するための自由性という部分ではどうでしょうか?

こういう細かい動きこそが、手腕部の出番であるにも関わらず当の本人たちは必死にインパクトで押し負けないように踏ん張っている…。結局は役割が逆になってしまってしまうわけです。

肋骨でパワーを生み出し手腕部の自由性と運動性を保つ!!

これらをすべてクリアするには、手腕部をフリーにさせ、小手先以外の部分から「押し負けないパワー」と「遠くへ飛ばすパワー」の2つを同時に生み出してこないといけないということです。小手先以外というと…そう、体幹部です。

ここ最近のスポーツ界では急激に注目され始めていますが、バッティングも体幹が使えるかどうかでパフォーマンスが大きく異なります。体幹の使い方では、阿部選手のバッティングが非常に参考になります。

こういう体幹主導で手腕部が従属するバッティングが出来ないと、打球を飛ばすためには苦労しますので押し手のメカニズムをしっかり理解しましょう。

肋骨の仕組みを理解すること

では、どのような動きで身体の奥から押し込むのか?という問題です。これを理解するにはまず肋骨がどういった動きを可能にするのかを知る必要があります。

肋骨の仕組み

肋骨は、真ん中に胸骨が挟まっていて左右に分かれている構造になっています。胸骨と肋骨の繋がっている部分は胸肋軟骨といって、本来は柔らかく動くはずなんですが、ほとんどの人は動くという概念すらないほど固いはずです。

ただ一部のバッターはこの部分が非常に柔らかく、胸骨を中心に左右の肋骨が前後にズレる動きも出来ます。

イメージ的には、腕を前に伸ばした時に肩甲骨が前へ連動してズレる。その肩甲骨と連動して肋骨も緩やかに前へ移動するという感じ。

身体を回転させれば簡単ですが、「胸骨」の位置を変えず、体軸を回転させず、正面を作ったまま行うと…。たぶんほとんどの人が肩甲骨すら満足に前へ出ないでしょう。

腰の回転を使わず、両腕も使えない状態でパワーを生み出す

そこで私がお勧めなのが0ポジションを意識した相撲です。

これは、腰の回転と小手先での操作を制限して、左右の肋骨の前後の動きで大きな力を生み出す練習です。軸を意識することで胸骨がガイドラインとなり、左右別々に考えやすくその分だけ前後の動きが行いやすくなります。

動画は投球のトレーニングですが、相手の立ち位置や片手でやるなど、色々と工夫しながらバッティングにアレンジしてください。冬のトレーニングに最適ですから、ぜひ行ってみてください。

この練習法は、脇を締めた動きではなく、腕が伸びきっている状態でも肋骨と肩甲骨を上手く使えば十分なパワーは生み出せることを意識させるのが目的です。


力士の上半身の柔らかさを参考にしながら、身体の奥から押し込む動作を試行錯誤すると良いスイングが出来るようになるかもしれませんね。

小学生が参考にすべき中村剛也選手のバッティング

パワーもさることながら柔らかなバッティングが特長の中村選手ですが、小学生はこういうスイングを目指すといいでしょう。

手腕部で力いっぱい振り回すのではなく、オーバーフェンスするだけの力を使うだけ、あとの余分な力は極力使わない。体幹主導でスイングしてボールを遠くへ運ぶイメージです。打席でのリラックスも参考になるバッターですから何度もみて、自分の中でイメージを作ってみてください。

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