ウォーミングアップは入念に行う

昔は「痛いくらい伸ばした方がちょうど良い」という指導者もいましたが、これは大変危険ですので気をつけましょう。関節や筋肉にストレスをかけるというやり方はパフォーマンス向上には結びつかないと考えてください。

小学生の内に覚えておきたいストレッチの方法をご紹介します。

一般的なストレッチは関節に負担がかかる

ストレッチは伸ばしすぎてはいけない

ウォーミングアップというのは、スポーツ科学的には身体を温めることで激しい運動の準備に備えたり、関節の可動域を増やすことでケガを防止するためという意味でしょうが、野球のアップというのはこれだけでは不十分です。

人間の身体というのは面白くて、使わないと衰えるという性質がありますが、身体を常に動かしている子供は大きなケガをしません。しかも、あれだけ走り回ったのに翌日にはケロッとしているわけです。

基礎代謝が優れているという要因もありますが、小刻みに動かす、ある意味落ち着きのない身体を持っているからこそ、ウォームアップ無しでもいきなり全力疾走が出来るわけです。

ストレッチは2つのポイントを押さえる

さらに子供が大きなケガをしないのは無意識に持っている「質感」というのが大きいです。なんとなく子供は柔らかいイメージがありますが、これはストレッチでいう可動域とは違います。一流のアスリートが力を抜いているときは、意外にも筋肉がふにゃふにゃだというのは、一般的に知られてくるようになりましたが、筋肉というのは正常に機能していると、関節周りがどうこうというより、筋肉そのものが柔らかくなります。我々大人が肩こりを起こすメカニズムとは対極に位置するんですよ。

ストレッチで伸ばしていく際には、

  • ブレーキ要素を減らすために可動域を増やす
  • 意識・生身の両方で、本当に柔らかいという質感を持つ

この2つの目的を持って行う必要があります。ただただ伸ばすだけ、あるいはその形だけを行う程度では時間の無駄ですからアップそのものをやらない方がいいでしょう。

質感というのは少年野球期がカギを握る

ただ、この柔らかい質というのが失いやすく、大人になってからその質感を取り戻すのは非常に困難になります。ですから少年野球の内はこの柔らかさを、いかに失わないかというのが一つのカギとなります。逆にいえば高校生でセンスのある選手は多少でも維持できているということですね。

肩甲骨のストレッチは慎重に

筋肉の柔らかな質を失いやすいパーツというのは色々ありますが、代表的なのが肩甲胸郭関節です。この部分は様々な深層筋群がありますので、上腕二頭筋を伸ばすという要素主義的なストレッチでは上手くいきません。

「肩甲骨周辺を伸ばす」という様に、より全体で考える必要があるのですが、単純に可動域を増やす要領で全体を意識して行うと、筋肉へ対する意識が薄くなり、ストレッチそのもの精度が落ちるという危険性もあるんです。

そこで重要になってくるのが、質感。伸ばすにも体感としてどのような伸ばされ方をしているのか?というのが必要です。

たとえば、
A.冷たく機械的な、まるでギシギシと音が聞こえてくるような伸ばし方なのか?
B.端から端までドロッと暖かい液体が染み渡るような伸ばし方なのか?
両者は伸ばすという動きは同じでも最終的に得られる効果はまるっきり違ってきます。

少年野球のウォーミングアップというのは軽視されがちですが、2つのポイントを押さえて入念に行うことでセンスのある動きへと繋がってきます。

落ち着きなく常に動くことは一番のアップ法

我々大人は落ち着きのない子供に対してすぐに注意してしまいますが、じつはこれも結構もったいないんですよ。常に動いている子供は、身体がピークの状態になっているわけで、わざわざアップするまでもないというレベルなんです。大きなケガをしない運動エネルギーの効率が良い身体というのは当然パフォーマンスにも影響しますから、ちょっとのことは温かい目で見守るというスタンスで指導すると上手に選手は育ちます。それを中学、高校と野球を続けていく過程で、上手に維持して尚且つ環境に適応していければベストですね。

ちなみに質感というのはとうぜん野球の試合中の動きそのものにも影響しますから柔らかい動きをしたいなら、可動域だけではなく普段から柔らかな質を強く意識することがお勧めです。

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