作新学院小針監督が生み出す「指導環境」とは?

甲子園もいよいよ明日の決勝を残すのみですね。 今日行われた準決勝の2試合ともセンスの面からみると非常に 参考になる試合でした。さらに、これまで県外の公式戦では 弱い弱いと言われてきた栃木県が甲子園ベスト4までいきましたよ。 作新学院は残念ながら準決勝で光星学院に負けてしまいましたが、 大会前の予想からしたら大健闘でしょう。この予想を超える快進撃の裏には何が隠されていたのでしょうか? さらには、この粘り強さはどこからくるのか?

私はこのレベルの戦いは「環境」が大きく左右すると考えています。 もともと作新学院は守備のチームであり、長打で勝ち上がっていくというよりは 1点を守って試合を運んでいくというチームでした。しかし、小針新監督になってからこのチームカラーはガラリと変わるんです。

甲子園大会でもその采配ぶりに驚かされましたが送りバントを極力しないで 選手に任せ、どんどん振らせていくという場面がありましたよね。 これは普段から選手が”そういった環境下”で練習していないと そうそう結果を残すことはできません。たとえば、無死1塁から強行策というのは口ではいくらでもいえますが 本当に監督が選手を信頼していて、選手自身も相手を打つことをシンプルに考えて 打席に入らないと成立しません。

こういった部分が、チームのシステムレベルで大幅に変わったのでしょね。

もちろんホームランがすべてというつもりは全くございませんが、 たとえば、仮に長打が打てる能力が十分にある選手が、 監督の考える野球観に合わないという理由から『大きいのはいらない』と 言われ続けた場合どうなるか想像できますか?はい。間違いなく自分の能力の10%も出せずに3年間を過ごすことになるでしょう。 これは脅しでも煽りでもなく事実です。

つまり、単純に100ある能力のうち 10しか出さないで試合をすればどうなるか? その程度のパフォーマンスで勝ち上がれるほど野球は甘くありませんよね?小針監督はここが非常に上手なんですよ。

若いという事もあり選手に感覚が近いのもあるとは思いますが 選手のモチベーションやテンションを上げる事が上手いんです。基本的に私はこのレベルのチーム同士の戦いでは、 野球技術の面で差がつくことはほとんどないと思っています。 守備1つみても、 どのチームも基本に忠実で上手に捕球したり送球したりできますよね?

じゃどこで差がつくのかというと、 【野球上達】=【技術】×【センス】×【環境】 つまり、センスと環境です。

さらに言えば、甲子園ベスト8に残るようなチームは学童野球からセンス抜群な 選手がほとんどですから、勝敗を左右するのは意外にも【環境】となる ということがいえるんです。監督のスタイルがどれだけチームに浸透しているか、 またどれだけ選手のモチベーションやテンションを下げないで試合に挑めるか。 これも「監督のセンス」なんですがこういった部分はみていて面白いですよ。

私は「強いチームの”創り”方」というキーワードをよく使いますが 高度な野球技術を教える事が出来て、的確なセンス指導が出来て さらに選手がやりやすいような環境を整える事が強いチームを創るコツだと思っています。小針監督のような人心掌握術に長けた、指導の力を持った指導が増えていくと 栃木県の野球が大幅に変わり、甲子園ベスト8常連県になるかもしれませんね。

でも、全国のどの野球の指導者、チームにもこのメカニズムはいえることなので 学童野球から、中学野球、高校野球と指導体系が変わっていけば いよいよ閉塞している野球界も次のステージに入っていくのではないでしょうか?そのためのセンス指導であると私は思っていますので、 興味が少しでもある方はぜひ導入に踏み切ってください。

お待ちしております。

それでは今回はここまで 動作の分析は大会後に行いたいと思います。

詳細はこちら

サブコンテンツ

CLOSE
CLOSE