鏡を使ってのフォームチェックをする際のポイント

タオルを使ってシャドウピッチングを行うのは一般的ですが、これをバッティングフォームをつくるのに行うのは有効かどうか?というのが今回のテーマです。この練習方法はセンスアップ専門家からみれば、非常に難易度が高く、上手にできる選手には効果が高い反面、多くの選手が全く、全くもって意味のない練習になるいわば諸刃の剣です。

センスのある選手というのは、センスのある身体があってセンスのある動きというのが成り立っています。これはあらゆる練習に共通して言えるのですが、同じ練習を行っていても選手の身体がどういう状態なのかによって効果は違ってきます。

このタオルを使ったフォーム固めの例でいえば、まずタオルの重心というのがわかる選手は、ほとんどいないと思います。

という事はバットを使った素振りとは違うわけです。バットの重心を感じて重心に対して素直にグリップを動かす…という動きもできませんからバットの正しい扱い方は直接的には身に付きませんね。

しかし、センスのある選手なら意味のない練習が非常に効果が高い練習になるんです。

引きや押し動作、肋骨の柔らかさ、軸の制御…これだけできる身体があれば、タオルが持つ「質感」を利用して全身を柔らかくしならせる意識を養う練習法にもなるんです。タオルというのは上手に動かせば、蛇のように動きますよね?そういった質感を自分の身体にも活かすことが出来るんです。

もちろん、ここまでレベルの高い練習は明らかに時代が早すぎますので行っている選手はかなり少ないと思いますが…。つまり、何を持とうがセンスのある身体を持っていれば、同じように練習しても目的が違くなってくるということです。

ですから、タオルでフォームをつくろうと考えているなら、まずやるべきことはセンスのある身体を創ることが先になるということですね。

ここは非常に重要な事ですから、新しい練習方法などを模索している指導者の方も頭に入れておくといいでしょう。良い練習方法は選手のセンスのある身体を促す構造になっていますが、最も重要なのはセンスのある身体を先に創る事です。そうすれば既存の練習方法でも十分に効果があるでしょう。


それから、鏡の前でバッティングフォームをチェックする場合、注意すべきポイントがいくつかあります。まず最もやってはいけない事は「相手投手のボールを打つ事から逸れること」です。つまり鏡に映る形を意識しすぎてそれを打席で演じようとし、実戦では使い物にならない状態に陥ることは、打席に立った時点で勝負になっていないということです。

こういった点を考慮するならば、野球の中・上級者は鏡でのバッティングフォームのチェックは必要ないでしょう。プレッシャーのかかる試合の、ある1シーンで行うバッティングというのは潜在意識下での動きですから、ビジュアル的なイメージというのはかえって邪魔な情報でしかありません。

無意識で良い動きが出来るそんな身体、潜在意識を養う事が重要です。無意識下で行った動き、それそのものを言葉にして表現する必要はないのですから、自分の中の感覚や意識で良いバッティング動作を追求していけば大きなスランプにもならないでしょう。

逆に、野球初心者の場合は、技術的な部分を考慮すれば「形」をつくることは必要でしょう。

野球のバッティングの基本的なフォームがある程度できなければ、スイング動作が素人になってしまいますからね。ただ、初心者の場合、中長期的にフォームチェックを行っていると上記で説明したとおり、ビジュアル的なイメージというのが邪魔になったりもしますので「身体の軸がスッと立って構えられているか?」「スイング後のバランスは柔らかいか?」こういった全体の要素でチェックするといいでしょう。

『肘の高さが…肩の開きを…膝を絞って…脇を締め…ヘッドを立てて…リストを返し…顎を引いて…』こういった部分的な要素をチェックしていくと「相手投手のボールを打つ事から逸れること」へ繋がっていきますので気を付けてください。まとめますと、鏡でのバッティングフォームをチェックするなら全体の要素をみることですね。

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