SB柳田選手はなぜ高打率を残せるのか?力んで見えるのに打てるわけとは?

メールNo.167 配信日2018/10/22

今回のメルマガは、プロ野球観戦をそこそこしている学童野球のお父さんコーチ向けかもしれません。

内容は前回の予告通り「メール相談Q&A」をお送りいたします。
実際にユーザーさんから頂いたメールの中でも、個人的に凄い面白い内容だったのでぜひ皆さんにも紹介したいと思います。

・・・・・・・・メッセージ内容・・・・・・・・・

私は、axislabさんの野球理論が大好きで、脱力、重心、感覚をポイントに野球に取り組んでおります。

『なぜSB柳田選手は高打率が残せるのか?』柳田選手は、力んで打てている不思議な選手だと感じています。
私は、力みイコール悪の考えで、今まで野球に取り組んできましたので、柳田選手のようなタイプの選手が高打率を残せるのが不思議で仕方ありません。
そもそも力んでいると決めつけてるのも、おかしいのかも知れませんが、私の目にはそう見えてしまっています。axislabさんは、柳田選手をどう見るのか凄く気になりました。

CSを安定した強さで勝ち抜いたソフトバンクホークス。そんなチームの顔でもある柳田選手。彼のパワフルな打撃は「ゆる」と対極にあるのではないか?という疑問ですね。

これはすごくいい質問です。たぶん「ゆる」に拒絶反応を起こす方の大半が持っているイメージでしょう。

『ふにゃふにゃに脱力してたら力入らないだろ!』
『プロはもっと強くスイングしてる!!』
『ゆるなんて意味ない!!!筋力が強くないと話にならない!!!!』

筋肉は弛緩と収縮の差がポイント

結論から申し上げますと・・・私は逆に力みではなく柳田選手のバッティングは「脱力と収縮」の極致だと思ってます。

過去にもブログやメルマガなどで話ていますが、「カラダを水のようにゆるめ、インパクトやリリースで100の力をもっていく」この感覚的意識が非常に大切になってきます。

100の部分が圧倒的に強ければ、それこそ肉眼でみたときダイナミックでパワフルな動作にみえます。そこだけを切り取ってみたら、力んでみえるよという人もいるでしょう。

基本的に筋肉は弛緩と収縮の差が激しいほど巨大な力を発揮しますから、「構えやテークバックあたりはふにゃふにゃで、インパクトシーンで100の力を出す」くらい極端な感覚がベストなわけです。

■ゆるは完全脱力の意味ではない■

それともう1つ。たぶん「脱力」や「ゆる」という言葉の誤解が大きいと思います。
脱力やゆるむというのは、その動きに必要である最低限の力を演算するという意味です。

『「完全脱力」でふにゃふにゃスイングで動作を行うんだ』と思い込んでしまうと・・・かなり難しい。完全脱力でインパクトしたら、全くボールが飛ばないどころかバットがまともに振れませんし・・・

■必要最低限の力をコントロールするイメージ■

例)鉛筆を使って正しい筆圧で文字を書く

指の摩擦係数で辛うじて触れてるような力で持つ
⇒ズルズルと鉛筆が落ちてしまうため、これでは文字が書けないから力が足りない

ペンタコができるほど強く握る
⇒これでも文字は書けるけど筆圧が強すぎる。鉛筆をスムーズに操作するためには不要な力みがある

例)ヘッドスピード90キロのスイングをしてみる
※ヘッドスピードを90キロで振る場合に、自分のカラダが出せる89%の力が必要だった場合はどうか。

89%でヘッドスピードが90キロ
⇒必要最低限の力のコントロールができている

100%でヘッドスピードが90キロ
⇒アバウトすぎて不要な力みがある

この力のコントロールが正確であればあるほどカラダを上手く操作したり、道具を上手く扱ったりできるわけです。

お察しの通り「力み癖(弛緩と収縮の差が小さい)」がある選手ほど、このコントロールが苦手です。
まず圧倒的にゆるまないと細かい力のコントロールができない。だから、”完全脱力”もあながち間違ってはいないのですよ(笑)

徹底的にゆるむ努力をしていると、弛緩と収縮の差がハッキリしてきますから。

ちなみに普段からカラダをゆるめる努力をしてる選手ほど、このコントロールが上手な傾向があります。

柳田選手の感覚やイメージはどうなっているのか?

ちょうど柳田選手本人が解説しているものがありましたのでぜひ

上記の動画でだいたいのイメージは湧いてしまったと思います。

うーむ、V字スイングというのも面白いイメージですね。
野球やゴルフなどのスイング系のスポーツはヘッドスピードが高い選手だと、慣性力が働いた分を逆算して「大袈裟なイメージを持つと実際の動きがちょうどぴったり行く」ことがしばしばあります。(上から叩けたと言ってるプロ選手のスローをみると、アッパーに入っているようにみえたりとか、です)

トップアスリートのそういった「感覚的な部分」と「実際の動きのギャップ」はかなり激しい。アマチュアの場合は見極めが難しい部分でもありますよね。

■小中学生は指導と動作のギャップに悩む■

たとえば、テークバックからフォワードスイングに入るシーン。学童野球でもよく『上から最短距離でヘッドを出せ』って教わりますよね。

【プロのヘッドスピード】
レベルにスイングするイメージだと・・・体幹のキレが半端じゃないためヘッドがとんでもなく下がってしまう。上から出すイメージでちょうどいい。

【小学生のヘッドスピード】
実際はレベルに振りたいのに・・・上から出すイメージだと腕の操作性のほうが勝ってしまい、ホントに上から切ったような大根切りの軌道になってしまう。

柳田選手なんてプロアスリートの中でもトップクラスのフィジカルエリートですから、そんな彼が全力で体幹使ってボディスピンしたら・・・
それこそ往年のバリーボンズのように”極端な上からV字”の意識を持つくらいがちょうどいい感じなのではないでしょうか?

打率を上げるにはバッティングの基本が大切

さて、本題の「柳田選手が打率も高いのは何でか?」ですが、これは複数の要因が考えられますので”これ”と断言するのは難しいです。

それでも、いくつか挙げろといわれると・・・・

  • ヘッドスピードの「速さ」と、動き出しの「早さ」がプロの中でもあり得ないほど高次元
  • 単純に動体視力やハンドアイコーディネートが優れていると思われる

■尋常ではない動き出しの早さ■

柳田選手はボールを呼び込んでからの「圧倒的な動き出しの素早さ」がとんでもなく凄い。これは特筆すべき動作ですね。

たぶん野球素人の方がキャッチャー目線でみてると『あれ?ストライクを見送ったかな?』と思った次の瞬間、スタンドに入れてる感覚かもしれません。ジッと鞘をみてたのに抜刀が見えなかったみたいな

試合中は相手バッテリーと駆け引きがありますから、ギリギリまでボールを見極めてから動き出したほうが有利なルールです。
とはいえ、打てるか打てないかの判断を遅らせれば、同時に見逃しのリスクも跳ね上がるわけです。

ヘッドスピード自体は、大振りする感じで助走をつければある程度は加速するのは皆さんも体感していると思うんですよ。

ただ、ボールの見極めというのはヘッドが加速する前の話ですからね。だからこそ、柳田選手はプロの中でも異常なのではないかと。

■速さと早さを極めるのが理想■

動き出しの素早さは、通常の選手とは異なるレベルで肩甲骨や鎖骨、仙腸関節周り、脊柱の柔らかさ・・・これらがベースにあっての体幹のキレが無いとまず無理です。

その動き出しの素早さにプラスして、ゆるんで構え〜インパクトで一気に100にもっていくわけですから。
ボールを呼び込んでも十分間に合う、パワフルなスイングでヘッドスピードも両立している、まさに怪物です。

ヘッドスピードだけではなく、速さと早さをバランスよく追及していく理想的なスイングですよね。

もう1つの動体視力やハンドアイコーディネートの優劣ですがこれはどれくらいの数値なのかがわかりませんのでなんとも言えませんが。
まーあれだけのパフォーマンスを安定して繰り出すわけですから、とうぜん並みの身体能力では無いでしょう・・・

以上です。
近年はフライボール革命が騒がれてますから、これからどんどん学生のスイングも変わっていきそうで楽しみですね。

さいごに・・・
日本シリーズで柳田選手のスイングを見る機会があるかと思いますが、スローモーションの映像が流れたら、体幹を切ったときの肋骨がひしゃげる動作にぜひ注目してみてください!

  • 打席に入ったときの集中した顔(熱・冷がバランス良い表情)
  • ボールを待ってるときの揺れ具合(揺するとゆるむの法則)

これらが噛み合ったとき、肋骨のキレは恐ろしいほど高まりますから、非常に怖い打席になるでしょう。

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