ハンカチ王子の2つの過ち

昨日の日ハム対楽天戦、斎藤投手と塩見投手の対決はご覧になられましたか? ライブで観たという方は少ないと思いますが、ニュースで観たという方は多いはず。 今回のテーマは斎藤投手がいま一つ活躍できない原因を解説していきます。タイトルだけをパッと見ると、また週刊誌にスキャンダ…ですが(苦笑)

高校時代の投球動作と今現在までの変化を追っていった時に 彼がミスをしている(周りの環境がそうさせた場合もある)部分を2つ解説しましょう。

膝が伸びきっていてもスムーズな体重移動は行える

まず1つめは、左の股関節。体重移動が高校時代は上手にできているんですが、大学→プロと進むにつれ どうもうまくいっていないようです。 本人も走り込みで身体を絞っていると思うのですが、 なかなか体のキレがベストの状態に戻らないようですね。野球評論家の間では、『斎藤は左足の膝の突っ張りがダメだ。あれじゃ前へ体重は乗らないよ』というのが 最も多いようです。

確かに、ブレーキ要素が多くエネルギーが跳ね返っているような印象も受けます。

ですが、じつはこれ…ちょっと複雑なんです。 体重移動というのは、「捕手側の股関節に体軸が乗るかどうか?」が問題であり、 膝が突っ張ろうが曲がろうが、というのはあまり問題ではないんですよ。日本の投手指導というのは、体重移動は重心を低く「グッと踏ん張るように」 「腰を目一杯まで落として投げろ」というのが一般的ですよね。

これが非常に厄介なんです。

外人投手のような膝を突っ張るフィニッシュだと、すぐに体重が乗っていないと位置づけてしまいがちなのはこういった伝統がそうさせているのもあるかと思います。たとえば、この動画はどうでしょう。

早実時代のピッチングですが、フィニッシュで 左膝は突っ張っているようにみえますが、体重は完全に乗っているんですよね。

つまり、たとえ膝が突っ張っていてもブレーキ要素を極限まで減らし 左の股関節へ体軸を上手に移動させ乗せることができるという事です。

弾丸シュートを蹴る軸足の膝は曲がらない

これはどういう事かというと、 じつは、サッカーのシュートが最もわかりやすいんですよ。全力で振り抜くシュートを蹴るとき、いわゆる軸足にうまく体重がのらないと 腰が後方へ残り、膝が折れ、上方へ蹴ってしまいホームランになってしまうという 二流選手のキックのメカニズムがあります。サッカーの軸足はピッチングでいうと左足つまり捕手側へ踏み出す足ですね。

ということは、逆にピッチングで腰が前方へシフトできれば 自然と膝は伸びるのではないか?これが最もブレーキ要素を減らすに 適した方法なんですね。そのためには、やはり股関節周りの筋肉や関節のブレーキ要素を減らす トレーニングが必要になります。 腰を捕手側へ移動させても、受け入れ先の左股関節がガッチガチではすぐに 跳ね返されてしまいますからね。

こういったポイントを押さえれば、 まずやるべきことは股関節周辺のブレーキ要素を減らすことが先決でしょう。ブレーキ要素の多い下半身でいくら走り込んでも、 スタミナや脚の筋力がつくだけで、肝心の体重移動が上手くならないでは 意味がありませんからね。同じようなリズムとフォームで投げていても、 高校時代の投げ方には戻れないでしょうね。なぜか?

「軸の乗せ方というセンス」が今は無いから! この部分を改善すれば上手く体重が乗りナイスボールが復活するでしょう。

腕のしなりを失った理由は肩甲骨の内側の固さ

そして2つめが、肩甲胸郭関節(肩甲骨と肋骨の間)です。 斎藤投手はよくマウンドで両肘を前方へ出し肩甲骨のストレッチを 行いますが、あの肩甲骨の角度をみると高校時代の方がスムーズだったと 言われても仕方がありあせんね。

確かに筋力では高校時代とでは比べ物にならないほど強くなってと思いますが エネルギーの効率化という面では非常によくありません。 今後シーズンを通して投げることも考えれば 肩甲胸郭関節の毎日の調整作業は必須と言えるでしょう。理想はあのポーズの時に、肩甲骨が肘の角度と一致してしまうくらい出ること。 つまり両肘を前方へ出したなら、両肩甲骨も完全に前方へせり出せるまでです。

そこまでいけば、ボールにキレやノビが出てきますし、 なにより頭のいい選手ですから打者を打ち取れる確率はグンと上がるはずです。ザッと解説しましたが、 これらは小学生の投手でも高校生の投手でも同じことがいえますので 常に意識して調整することをお勧めします。

ちょっとわかりにく文章で申し訳ないのですが まとめますと…

  • 1.問題は膝じゃない、股関節周辺を改善すること
  • 2.肩甲胸郭関節をスムーズにすること

この2点です。

高校時代の動画を注意深くみてもらうとわかりますが、 これら2つのポイントが上手にできていて、その真ん中にある身体の軸を 中心に手足がプラプラしているのがわかります。リラックッスしているのがみてとれる貴重な映像ですね。

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