グリップの正しい握り方

バッティングセンスに直結するバットと手の関係を考えるとグリップの握り方というのが大切になってきます。少年野球でバットの握り方を指導する時に注意しなければいけない点というのをいくつか挙げておきましょう。

小学生にグリップの握り方を教える時に参考にしていただけると幸いです。

一般的なグリップの握り方は2つ

グリップの正しい握り方というのもバッティングを上達する上では非常に大切になってきます。よく一般的に指導されるのは「パームグリップ」と「フィンガーグリップ」の2種類です。

パームグリップ

手のひらをメインにグリップを握る方法です。インパクトのシーンで押し手側のリストが立つため、ボールに押し負けなくなり結果的に打球が飛ぶようになるそうです。デメリットは手首がブロッキングされやすくバットコントロールが上手くいかないとも言われています。

フィンガーグリップ

指の関節をメインにグリップを握る方法です。インパクトのシーンで手首の力が抜け、柔軟に手首を使うことができます。そのため、バットコントロールがしやすくなり結果的に柔らかいバッティングができるそうです。こちらの握りの方が人気があるようですね。

その他にも「卵を握るように」や「親指と人差し指を離して、小指と薬指でしっかり握る」などがあります。私もよく、少年野球の指導者の方から、結局はどれが一番正しいのですか?とよく質問を受けるのですが、石川の答えはそもそも握り方そのものに執着してはいけないです。

速球と変化球では握り方が違う

というのも、速い球、遅い球、アウトコース、インコース、ハイボール、ローボールなど様々な状況に対応するには、バッターはその時々に最適な握り方へ変えていかないといけないからです。

たとえば、ストレートですと押し負けないことが第一に考えられますから、気持ち締める。変化球ですとボールの変化に対応しなくてはいけませんので気持ち弛ませるという感じです。ここで重要なのが、「ストレートはギュッとしっかり握って、変化球は隙間を空けるように力を抜けばいいのか!」とカテゴライズして理解しない事。あくまでも気持ち変える程度にというのがコツです。

カテゴライズして認識してしまうといわゆるフィードフォワード(先を予測して予め次の動作を決める事)が邪魔になってきます。不測の事態にどれだけ対処できるか?というのがバッティングという競技ですから、あらゆることをこうきたらこうと、カテゴライズしてしまうのではなく、あくまで気持ちこれくらい程度に濁した方がバッティングは上手くいきます。ちなみに上記の一般的に指導されている握り方も、○○なら□□であるという握りになっていますよね。誤った解釈をすると大変危険です。

隙間なく握れるパームグリップ

動画の「はじめてのバッティング」で、私はスライムのように握ると良いと解説しましたが、これはイメージの問題ではなく、手の柔らかさがそれに近づけば近づくほど良いという意味です。手が柔らかくなるというイメージがしにくいという方は、老人の手と赤ちゃんの手の柔らかさを思い浮かべてみてはどうでしょうでしょうか?赤ちゃんの手はストレッチ的な柔軟性という意味ではなく、なんとなく全体がプニッと柔らかいはずです。私がいうスライムのような手とはこのことです。

最近ではパームグリップが敬遠されているという話を聞いて私はびっくりしたのですが、よくよく考えてみれば、敬遠されているのではなく、ちょっと前の小学生よりも今の小学生は手が固くなっていて、それが出来ないという意味かもしれませんね。近年のバッティンググローブは少々手が固くてもフィッティングが上手くいく贅沢な構造ですからね・・・。(そういえば昔の指導者は素手で振れってしきりに言っていましたよね)

パームグリップの本来の役割とは、道具と手との関係を良くするためです。両者を反発させず、密着するようにまとわりつく。それによって身体から生み出したスイングのエネルギーをロスなくバットへ伝える事ができるし、そのエネルギーの方向性だって自在にコントロールできるんです。

大事なのはヒットを打つという握り

ですから、ぶっちゃけベースとなる握り方はフィンガーでもパームでも何だっていいんですよ。相手のボールをただただ打ちに行く。その過程で、あるいは遅いボールに崩されこともある。そこで気持ち弛ませる。結局どんなボールが来ようが打つということには変わりないのだから・・・。こういう意識で、結果的に出来上がった握り方というのが一番正しいでしょう。

打つと思って打席に入り、打つと思ってバットを持って、打つと思って打ちに行った結果、勝手に最適なバットの握り方に変化する。しかし、ほとんどのバッターはこれができていません。コンパクトに絞って上から強くスイングしようとか、相手に合わせないように強く振ろうとか、そういう「相手をただただ打つこと」から逸れる要素があるとこの握り方はできませんよね。それこそ普段からあらゆる状況を予測して握り方をカテゴライズしなければスイングができなくなるわけです。苦手コースというのは案外自分で自分を苦しめた結果かもしれませんね。

色々なバットの握りで良い塩梅というのを探そう

つまり、こうならこうという握り方ではなく、野球の練習をしていく中で曲がりなりにも自分の握りのベースができたら、あとは状況に応じて勝手に変化してくれるような手の柔らかさを創るだけです。手の柔らかさを創る上でポイントになるのが、やはり反発し合ってしまうような固い手のひらですと何事も上手くいきませんので、相手(グリップ)に従うという意識が大切ですね。

私がよく指導で使うのが、様々なバットの握り方でバットを持ってもらい、「普遍的な部分」と気持ち変えるだけで「力はここまで抜けるなという部分」を身体で覚えてもらう方法です。

グリップを握る練習1

グリップを握る練習2

バットを水平にして握ってみる。ヘッドが重いのである程度力が必要になりますね。そこからヘッドを下げてみる。角度によって力の調整が必要になりますが抜きすぎるとバットが落ちます。手を柔らかく意識してグリップに密着させることがポイントです。

グリップを握る練習3

グリップを握る練習4

次に腕をクロスさせて握りながら力の入れ具合などを身体で感じてみてください。利き手と逆手では感じ方が違うはずです。しかし、両者とも「グリップを握る」ということには変わりないのですから本質的には一緒なんですよ。バッティングではここを間違えなければバットコントロールが飛躍的に良くなります。

こういう場合はこうという握り方で・・・そうじゃ無く、あらゆる状況でも「あーこんなもんか」と気持ち力を変える程度で、手が上手くグリップにフィッティングするというのを目指してください。

そうすることで、ただただ相手を打つことに興味が行きますし、あれこれカテゴライズして知識を叩き込むより、子供はそっちの方がむしろ打てます。バッティングでグリップの正しい握り方は?と聞かれたらあれこれ握り方を教える前に、上記の方法をぜひお試しください。

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