光星学院の例は我々指導者への警告である

第93回全国高校野球選手権大会で準優勝した光星学院の野球部員が 飲酒していた問題で、高野連は厳重注意処分をしました。最終的には準優勝の成績は認められ、来年の選抜出場につながる秋季大会出場も可能 という処分でしたが、この処分が甘いと思った方が大半だと思います。関係のない下級生部員がかわいそうだからという部分がこの答えに至ったのだと思いますが未成年の飲酒は違法ですからね。

さて、普段からセオリーに一石を投じる事が多い私ですが 今回はこのダークな部分に鉄球を剛速球で投じてみたいと思います! 厳しい言い方が出てくるとは思いますが予めご了承ください。

私がこの件でいいたいのは2つです。

選手の能力を引き出す環境を整える

まず1つは、他県から選手を集めたこと。準決勝で対戦した作新学院のベンチ入りメンバーと光星学院のベンチ入りメンバーの出身地をみればそういった感情は当然のことでしょう。以前から私は『他県から選手をとってくる時代は確実に終わる。これからは 指導者自身がそのレベルの選手を自分で育てる時代が来る』と発言していますが 今まさにその時代の境目といったところでしょう。

技術指導のレベル、画期的な技術論、ネット等のメディアによる情報量、 そして勉強熱心な指導者の方… 高度な野球技術を身につけるには十分すぎるほどのアイテムが揃っています。あとは、それを行うだけの環境を整える事。

チームが強い弱いは関係なく、これが出来ないのは選手の能力を引き出せない指導者の怠慢。 明らかな実力不足です。ただ、上達論でもあるように 「野球上達」=「技術」×「センス」×「環境」ですから センスと環境が揃わなければ、満足のいく結果は得られません。

ここが、センスのある選手を他から引っ張ってくる最大の要因でしょう。 センス抜群な選手なら必然的に1要素が揃った状態からスタートできますからね。

センスのある選手が退屈しないように工夫するということ

そして、この件で私が言いたい2つ目が 「センスのある選手」があくびが出るほど退屈になっている事飲酒や喫煙は高校生の3割は経験したことがあるというデータを考えれば何も光星学院の3選手だけが犯した罪では無いはずです。私の兄も強豪校で3年間野球を行っていましたので身に染みてわかりますがたまたま事が表に出ていないだけで、だいたい同じような感じです。

とうぜんいけない事だと思います。

ただ、こういった処分では臭い物に蓋ですから全く意味がありません。 なぜ起こるのか?taspo導入でも何一つ変わらないわけですから本質的に違う。それを見極める必要があります。

“野球をやらせていない”

これは私がこの仕事を始めるきっかけとなった思いです。 簡単にいえばセンスのある選手のスペックを現代の野球技術指導では満足させることができない、見合っていないという事です。これは高校野球に限った話ではありません。学童野球も中学野球もみな同じです。

センスのある選手の、高度な運動を支配している脳にとっては、あくびが出るんですよ。技術練習に依存したチーム練習というのは。ノルマ化、パターン化、集団による拘束化、こうきたらこうする、いわゆるフィードフォワードってやつですね。彼らの脳はこれが大っ嫌いなわけです(笑)だから、野球から離れるんですよ。いや、厳密には野球という魅力的なスポーツからは離れたくないが退屈な練習から離れたくなる。

これが最も大きいと思います。

野球界の閉塞感はセンス指導との併用で打開せよ

センスのある選手がこれですから その退屈さを全身で感じられない、態度で示せない、まじめで努力家な選手はいったい…だからなんとなく野球界は閉塞感に満ちているんです。 もっと上で出来る感じが無意識下で皆さんの中であるんでしょうね。平成に入り、環境が大きく変わりましたよね? この傾向がますます強くなり、私は野球の指導が限界に達していると考えています。 だからこそセンス指導の確立が急務なんです。

上手くなる練習と精神・肉体的にしんどい練習は必ずしも一致はしません。 合理的に上手くなるには、こういった野球をさせない練習・環境は 絶対に避けるべきでしょう。以上です。 とうぜん私が全国のすべてのチームに365日付きっ切りで指導することは 不可能ですから、それぞれのチーム内でセンス指導者が必要になってきますよね。

理想をいえば、学童野球で技術指導とセンス指導ができる指導者が 2人は欲しいところです…。そうなったら面白いでしょうね。

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