ロッテ金森打撃コーチの落とし穴

今年のプロ野球は「統一球」が原因で打高投低から投手有利な1年になりましたね。そんな各打者が苦戦する中、チームレベルで不振に陥っているのが昨年の覇者千葉ロッテ。少々気になった動画があったのでご紹介しましょう。昨年の日本一の背景には金森打撃コーチの力が大きいと当時は取り上げられましたね。

しかし、今年はその打撃理論が影を潜め、チームの本塁打数も40本程度と大不振に陥ってしまいました。来季の契約を結ばないとまで報道される始末…。なぜ?昨年よりも本格的に取り組んだはずなのに選手にフィットしなかったのか?様々な要因が考えられると思いますが、私はこの金森打撃コーチの理論にはある落とし穴があるとみています。

金森打撃コーチの理論は「ふすま理論」というバッティング理論で簡単にいうと、ふすまを開けるのに腕が伸びきった状態よりも腕を曲げた状態の方が身体に近づき、力が効率よく入るという理論です。ポイントを身体の近いところにもっていくということですが、統一球は低反発が故に引きつけると飛ばないという方もいらっしゃるようです。

…違うんですよ。そんな単純なもんじゃないんです。

体幹部をメインに使うスイングができるかどうか

ふすま理論を調べてもらえばわかると思いますが、ゴムチューブで両腕を使えなくしている点が素晴らしいんです…が、これ一歩間違えると全くエネルギーが足らなくなるんですね。まぁ結論から言うと一歩間違えてしまったという事なんですが…。

そう肋骨です。

このように両腕を縛られた場合、バッターは二択になるんです。

1つ目は、脇をしめて体幹部を一体化させてくるっと回る方法。2つ目は、両腕の拘束に抗うかのように肋骨をぐにゅぐにゅ動かしていく方法。前者は清田選手がみせた動きです。後者は、よく映画などでみる両手両足をロープで縛られた主人公が体幹部を懸命にぐにゃぐにゃ動かして脱出を試みるあの動きです。

つまり、清田選手の説明通りでは結局本質的には手打ちになってしまうということです。

両腕を縛られた状態でバッティングするのはすごくいい練習なんですよ。リーチを使うなということです。でも、肋骨まで拘束してしまうと結局どこで打つのかわからななくなるんです。腰をくるんと単純に回せば、それこそ変化球の餌食ですからね。もっと難しい事をいえば、腕が伸びていうようが曲がっていようが、固定的な支点をどこにするか、固定支点そのものを動かしていくという動きができるかどうかで、重い門でも肋骨や肩甲骨で開ける事は可能です。

もちろんバッティングの場合は腕を伸ばすとインコースが打てませんから結果的には曲げますけど。引きと押しのバランスですね。このバランスがとれるとスイング面がしっかり出来上がってきますから安定したバッティングができるようになります。そのうえで肋骨からしっかりエネルギーをつくれると統一球でも違和感なく勝負できるということ。

ロッテ打線が昨年を上回る成績を残すためには引きつけようが前で打とうが、肋骨を使ったバッティングを取り戻さない限り復活はしないという事です。結局はフィードフォワードをいかに無くしていくかですよ。予測を裏切られるのは当たり前の世界ですから、「ポイントを引きつけて前で打つ」「ポイントを前にして引きつけて打つ」そういった矛盾する動きを簡単に実現する身体を創ることがバッターには求められますよね。

今回の例は我々アマチュアには非常に参考になる部分ですからしっかり認識してトレーニングを行いたいところです。

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