『腰で打て!!』はバッティングの極意である

昔から『バッティングは腰で打て』『腰が入っていない』という指導は有名ですよね。しかし、具体的に腰のどこを指していて、どういう意識を持って、どのような動きをするのかについては詳しく指導されていない場合がほとんどです。今回はそんな身体の要である腰をテーマに、単調な軸回転で終わらない粘りのある鋭いバットスイングを生み出すコツをご紹介します。

腰を使って打つというのは何となく皆さんもご存知かと思います。ただ腰といっても解剖学的にどこを指しているのでしょうか?日頃から運動不足なお父さんが、週末にチームのお手伝いでバッティングピッチャーをやると『翌日腰が痛くなった…』なんて人もいらっしゃるかとかと思います。この場合の腰とは大抵は腰椎周りのことを指すでしょう。

長時間椅子に座っていると坐骨が痛くなりますが、この場合は『お尻が痛い』と表現したりしますから、この部分まで下がると腰ではないようです。では、バッティングでいう腰とは何なのでしょうか?

腰回りの構造を理解してみる

骨盤の構造

骨盤の構造をみてみると、左右2枚の腸骨に、上下では腰椎と尾骨が中心の仙骨を挟んでいる形になっています。仙骨のジョイント部分にはそれぞれ関節があり、一枚岩でガチッとしているというよりも、柔らかく稼動する構造になっています。

近年では、骨盤や仙腸関節のゆがみを直してダイエットをするという方法が流行っているように、腰は体の要でありこの部分がしっかりしていないと、身体全体にとってマイナスの要因になるという事がわかってきています。

バッティングで骨盤を使うといえば、上達屋の手塚一志氏が詳しいかと思います。

『腰で打て』は意識を高めなさいという意味

仙腸関節の動き

手塚氏の理論を中心に最近のバッティング理論では、仙腸関節や腰仙関節を柔らかくすることが身体のキレに繋がると言います。ですが…この部分はちょっとやそっとじゃ動くようにはなりません。手の関節と同じような感覚で腰の関節を感じられるという人は稀でしょう。

それくらい普段から仙骨がニュートラルなポジションに入っていないし、運動しているはずの野球選手であってもゆがみがひどい個所です。

2枚の腸骨で前後のわずかなスライドを行える身体は、単なる軸回転では終わらず「動き出しの圧倒的な早さ」や「粘りのある下半身」を生み出し、鋭いスイングや緩急への対応力が格段に上がります。

ただ、どのように動かすかというのは頭で理解してもダメですから、まずは意識することが大切ですね。『腰をボールにぶつけていけ』という表現からもわかる通り、腸骨を前後に動かしたから打てるというわけではありません。それは仙腸関節のみをフォーカスしただけであり、要素で考えていては統合的な運動は成立しません。あくまで全体で考えなくては、ハムストリングスを主導に軸回転も、脊柱の左右前後の柔らかな動きも行うことが出来ないからです。

もちろん、部分的に可動域のトレーニングを行うのは良いのですが、バッティングの最中に『腸骨がこう動いて…』と考えてしまってはいけないということです。『腰でボールをぶつけるように』『腰で打て』などと表現しているのは、身体がある程度動くようになってくると、全体として意識した方が複雑な動きを可能にするということです。意識し続けていれば手の関節の感覚に近づきますからね。腰のキレを生み出すには、それらの意識を補助するようなトレーニングが必要になるということ。

腰を活かすも軸足の股関節次第!!

小中学生の時期にバッティングで仙腸関節を意識させることはものすごくいいことだと思うんです。ちょっと難しいですけどね。

私がセンス指導するときは、意識しづらい腰の中ではなく、まず股関節を安定させるように教えていきます。

軸足の股関節をしっかりトレーニングさせて、体の軸がまっすぐその上に乗れるようになると良い感じで腰が安定してきますよ。これは筋力トレーニングではないので、小学生にでも簡単にできますのでぜひ行ってみてください。

慣れてきたら腰を意識しながら体重移動を行う

股関節のトレーニングを毎日行っていると、仙骨のポジションが良くなってきますので腰が意識しやすくなります。ある程度慣れてきたら壁を使っての軸移動の練習も行ってみてください。

壁を利用した腰のトレーニングのやり方

壁を利用した腰のトレーニングの実践

仙腸関節を意識するというよりも、体重を左右の股関節で交互に移動させる+お尻を壁から離さないようにする、こういう意識を持って行うと良い感じで腰の意識がスイングに活きてきます。後ろから前へ押されているようなイメージを持って、腰でボールを打てるように日々練習していきたいところですね。

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