レベルスイングを正しく理解する

少年野球の指導では『レベルスイングが有効だ』と考えている方は非常に多いのではないでしょうか?物理的にもボールの軌道と同じ軌道でスイングするというのは、バットに当たる確率が高いといわれていますので、それも一つの理由でしょう。しかし、ボールの軌道を基準に考えてレベルにスイングするのはいいのですが、問題はバットの軌道が思い通りに行くかどうかです。

試合で本気になって打ち取りにくる投手は、投球スタイルはもちろん球質、球種、緩急etc…あらゆる変化を駆使して何とか打者のタイミングを外そうとしてきます。その毎球異なるボールの軌道に対して、果たしてバッターは全てのスイングをレベルで対応する事が出来るのでしょうか? もちろん答は…NOです。

0,5~1kgもあり、さらに重心が先端にある“金属の棒”を、あらゆるボールに対して小手先で操作していく事は…まず間違いなく無理でしょう。投手が投げたボールが途中で一時停止して『ここらへんか?いやもうちょっと下だ。よし一致した』と確認したうえでスイングでも出来ない限り…。もちろんこれは現実的に不可能ですw

プロ選手のプロフェッショナルたる所以

ですが、プロの打者は平気で打ちますよね? これは一体どういうことでしょうか? まさか、プロにはボールを一時停止させる能力が・・・。

そのような能力があるかどうかは知りませんが、少なくても少年野球で教えられるレベルスイング万能説では考えられない対応をしていることは確かです。

では、プロの選手の何があれほどまでに正確なスイングを生み出しているのかというと、バットが通る軌道という概念が全く当てはまらないスイングをしているから、というのが答えです。

『バットの軌道をこういうように操作する』と頭で考えたルートでスイングする…というレベルでは打席に入っていないということ。

これを我々が習得しようとしたら、見たままのスイングの軌道を真似しても上手くはいきません。ズバリ、バットの扱い方です。プロのバットの扱い方は、我々とは明らかに精度も質も異なるんです。

スイングの概念がアマチュアとは違う

レベルスイングという小さな枠に留めて、イメージ通りの軌道で合わせるのではなく、バットを手に持って振るという運動をした時の道具の扱い方が優れているんですよ。さらに、その優劣によってボールの軌道に上手く対応できるスイングが出来るかどうかが決まっているということです。 私はこのようなバットの扱い方を「バット中心操の原理」と呼称しています。

ところが、すべてのプロがこのバット中心操でスイングしているかというと、実はそうでもないんです。バットの扱い方には、このサイトでも解説し続けている通り2つ存在します。

もう一つが「自中操の原理」というバットの扱い方。プロ野球では、筋力的に優れていてパワーがある打者タイプに多い扱い方です。もちろん自中操の原理は、体がバットヘッドの重みに耐えられるほどの高度な動きと強靭な肉体があればアマチュア選手でも問題はありません。ただ、ほとんどのアマチュア選手は、プロのパワーヒッターのような高度な体の使い方もできませんし、強靭でしなやかな身体もありませんから、バット中心操に比べると難しいタイプでしょう。

小中学生は、バットの扱い方をバット中心操にする方が驚くほど早く、そして正確に打てるようになりますので、私はこちらをお勧めしています。

頭で理解する前に身体が勝手に動くという境地

センストレを指導してバット中心操をスイングに取り入れた選手は『振ってる感覚がない』と面白いように口をそろえて言います。これは小手先でバットを操作しない、完全にオートなスイング動作を行っているということがいえます。

よくプロのバッターが、ホームランの感触を『打った感触が無い』『抜けるような感覚』と表現しますが、これはインパクトの瞬間もさることながら、スイングそのものが“抜けている”とみて間違いないでしょう。こういったバットの扱い方を誰にも教わらずに行えてしまうのですから、やはり一流のプロのバッターは物凄いセンスを持っていることがわかりますよね。

この頭で考えている動きとは別に、無意識に良い動きが出来てしまうというのがプロと呼ばれる所以です。身体が勝手にそういう動きを創りだしてしまう。自然とバット中心操でバットを扱ってしまうので、あらゆるボールの軌道にスッとレベルで入っていったりもするわけです。『無我夢中で打ちました』なんていう緊張する場面では、頭でいくらレベルスイングを理解していても、身体が動かないといい結果は生まれませんからね。

本物のレベルスイングを体得するには?

まとめますと、高度な動きが出来ないアマチュア打者には「バット中心操」でのスイングを鍛えることがお勧め。

スイングの軌道を直接矯正するよりも、【バットを持って振る】という運動の本質的な部分を変えていった方が、結果的にレベルスイングになっていたりするので、この方法が上達の一番の近道といえます。

頭で考える前に身体が無意識にそのレベルな軌道を作ってしまうスイング…。これをセンストレをやり込んで身につける努力をするべきでしょう。スイング自体を考えなくても良くなれば打席でも余裕が生まれますからね。

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